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「年間4万円が控除されます」

保険の説明でよく見る言葉です。この一文、4万円戻ってくるという意味ではありません

正直に言うと、わたしも自分の保険で計算してみるまで、ここがピンときていませんでした。実際に計算したら、想像よりずっと小さい金額でした。

この記事では、生命保険料控除で本当にいくら戻るのかを、所得税と住民税の両方を含めて計算します。早見表も作ったので、自分の保険料に当てはめてみてください。

📖 この記事でわかること

  • 「控除4万円」の本当の意味
  • 実際に戻ってくる金額(所得税+住民税)
  • 年間保険料 × 課税所得の早見表
  • 年間8万円を超えると控除が増えなくなる話
  • いつ戻ってくるのか

「控除4万円」は4万円戻るという意味ではない

まず、ここだけ押さえてください。

控除とは「税金の計算対象から差し引ける金額」です。差し引いたあとの金額に税率をかけて、税金が決まります。つまり——

実際に減る税金 = 控除額 × 税率

控除が4万円あって、所得税率が10%なら、減る所得税は4,000円。4万円ではありません。10分の1です。

保険の営業の方が言う「4万円控除されます」は、事実として正しい表現です。嘘ではありません。ただ、受け取る側が「4万円戻る」と思ってしまいやすい言い方でもあります。

実際に戻る額は「所得税+住民税」で計算する

もうひとつ大事なのが、生命保険料控除は所得税と住民税の両方にあるということです。

そして、この2つは控除額の計算式も上限も違います

1区分あたりの上限3区分合計の上限
所得税4万円12万円
住民税2.8万円7万円

住民税のほうが小さいんですね。ここを見落としている記事が多いので、覚えておくと得します。住民税率は原則10%の一律です。

所得税の控除額【計算表】

2012年1月1日以後に契約した「新制度」の場合です。

年間の保険料控除額
2万円以下全額
2万円超4万円以下保険料×1/2+1万円
4万円超8万円以下保険料×1/4+2万円
8万円超一律4万円(上限)

住民税の控除額【計算表】

同じく新制度の場合です。

年間の保険料控除額
1.2万円以下全額
1.2万円超3.2万円以下保険料×1/2+6,000円
3.2万円超5.6万円以下保険料×1/4+1.4万円
5.6万円超一律2.8万円(上限)

【早見表】結局いくら戻るのか

一般生命保険料控除だけを使った場合の、実際に減る税金です。所得税と住民税を合計しています。

年間の保険料所得税率5%所得税率10%所得税率20%
2万円約2,600円約3,600円約5,600円
4万円約3,900円約5,400円約8,400円
8万円約4,800円約6,800円約10,800円
12万円約4,800円約6,800円約10,800円

冒頭の「控除4万円」は、年間保険料8万円のケースです。実際に戻るのは約6,800円(所得税率10%の場合)。控除額の6分の1ですね。

※復興特別所得税(所得税額の2.1%)は省いた概算です。

年間8万円を超えても、控除は増えません

早見表を見て気づいたと思いますが、年間保険料8万円と12万円で、戻る額が同じです。

これは所得税の控除が8万円超で4万円に張り付くから。住民税も5.6万円超で2.8万円で止まります。つまり——

一般生命保険料控除だけで見ると、年間8万円を超えて払っても、税金の面でのメリットは1円も増えません。

「控除があるから」という理由だけで保険料を増やすのは、8万円を超えたところから意味がなくなる、ということです。

もちろん保険は保障のために入るものなので、控除だけで判断するものではありません。ただ「節税のために」と言われたときは、この上限を思い出してください。

わが家の場合

わが家の生命保険は月2,180円、年間26,160円です。

控除額戻る額(税率10%の場合)
所得税23,080円約2,300円
住民税19,080円約1,900円
合計約4,200円

年間4,200円くらい。月にすると350円です。

大きな金額ではありませんが、申告書に書くだけでもらえるものなので、取りこぼす理由はありません。

いつ戻ってくる?

会社員で年末調整をした場合、12月または1月の給与に上乗せされて戻ってくるのが一般的です。

厳密には「戻ってくる」というより、その年に払いすぎた所得税が精算されるという形です。

住民税のほうは還付ではなく、翌年6月からの住民税が少し安くなるという形で効いてきます。手元にお金が入ってくるわけではないので、実感しにくい部分です。

よくある誤解3つ

「保険料の◯%が戻る」ではない

戻る割合は保険料ではなく、控除額と税率で決まります。同じ保険料でも、所得によって戻る額は変わります。

控除証明書を出せば自動で最大限もらえる、わけではない

年末調整の申告書に自分で金額を書く必要があります。証明書を添えるだけでは足りません。

旧制度と新制度で計算式が違う

2011年12月31日以前の契約は「旧制度」で、上限額も計算式も別です。控除証明書にどちらか書いてあります。

わたしもFP3級を勉強するまで、この手の控除は「会社が勝手にやってくれてる」と思っていました(その話はFP3級で学んだお金の知識3選に書いています)。

まとめ

  • 控除額=戻る額ではない。実際に減る税金は「控除額×税率」
  • 生命保険料控除は所得税と住民税の両方にある。上限は所得税4万円・住民税2.8万円
  • 「控除4万円」で実際に戻るのは約6,800円(所得税率10%の場合)
  • 年間8万円を超えて払っても、控除は増えない
  • 年末調整の申告書に自分で書かないと適用されない

保険は保障のために入るものです。控除は「入ったあとについてくるオマケ」くらいに考えておくと、判断を間違えにくくなります。

ちなみに、その保険で教育費を貯めるべきかどうかは別の話です。学資保険とNISAを年利ベースで比べた結果は学資保険とNISA、どっちがいい?返戻率127%は年利1.57%でしたにまとめました。

家計全体の見直しについては固定費を下げたい人へ(ガイド)にまとめています。