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子どもが生まれたとき、まず調べたのが学資保険でした。

いろいろ読んでみて、結局わが家は入りませんでした。「NISAのほうが増えそうだな」と思ったからです。正直に言えば、ネットで調べただけで、それ以上深くは踏み込みませんでした。

それから数年たった2026年、この記事を書くにあたって調べ直したら——当時の前提がけっこう変わっていました。学資保険に、追い風が2つ吹いていたんです。

この記事では、その変化を踏まえたうえで、返戻率127%が本当はどれくらいの利回りなのかを計算します。先に答えを書いておくと、年利に直すと約1.57%で悪くない数字でしたが、わが家は必要なときに引き出せることを優先して、今もNISAで教育費を準備しています。

そもそも学資保険とは

毎月または毎年、決まった保険料を払い込んで、子どもの進学時期にまとまったお金を受け取る保険です。よく見る「返戻率」は、こういう意味です。

返戻率 = 受け取る総額 ÷ 払い込む総額 × 100

返戻率110%なら、100万円払って110万円受け取れる、ということですね。

ここで覚えておいてほしいのが、返戻率は「何年かけて」が書かれていない数字だということ。これが後で効いてきます。

わが家が検討して、やめた理由

子どもが生まれて、「教育費どうしよう」と考えたのが最初でした。

まわりから勧められたわけではなく、自分でネットで調べたのがきっかけです。当時いくつか比較サイトを読んで、返戻率がどうこう、という話は目にしました。

それで出した結論が、「NISAのほうが増えそう」。それだけです。

正直に書くと、それ以上は詳しく調べませんでした。見積もりを取ったわけでも、相談窓口に行ったわけでもありません。ネットの記事を何本か読んで、なんとなく判断した。それが実際のところです。

その判断が正しかったのか。いま検証してみます。

2026年、学資保険には追い風が2つ吹いている

調べ直して驚いたのが、ここです。

追い風①:予定利率が上がっている

予定利率とは、保険会社が「これくらいで運用できるだろう」と見込んで保険料を計算するときの利率です。これが上がると、同じ保障でも保険料が安くなり、貯蓄型の保険は返戻率が上がりやすくなります。

長期金利の上昇を受けて、この予定利率がいま上がっています。学資保険そのものの例ではありませんが、同じ貯蓄型の一時払終身保険では1.75%から2.25%へ引き上げという例もあり、2.25%は1998年7月以来の水準。0.50%という上げ幅は約41年ぶりだそうです。

つまり「学資保険は返戻率が低いからダメ」という、よくある論調は、2026年時点ではそのまま当てはまりません。

追い風②:生命保険料控除が子育て世帯向けに拡充

もうひとつが税制です。

2026・2027年分の所得税では、23歳未満の扶養親族がいる世帯だけ、一般生命保険料控除の上限が4万円→6万円に拡充されます(現時点では2年間だけの措置です)。学資保険もこの枠の対象です(出典:国税庁 No.1140 生命保険料控除)。

ただし、これには細かい条件があります。

  • 所得税だけの話(住民税は対象外)
  • 2012年1月1日以後に契約した「新制度」のみ
  • 3区分合計の上限12万円は据え置き

そして大事なのが、控除額がそのまま戻ってくるわけではないということ。控除が2万円増えても、実際に減る税金は数千円です。

【核心】返戻率127%を年利に直すと1.57%

ここがこの記事で一番言いたいところです。

いま調べると、条件のいい学資保険で返戻率127.4%という例があります。ソニー生命の学資保険Ⅲ型で、基準学資金額40万円・22歳満期・保険料払込は10歳まで(年払)・契約者30歳男性・被保険者0歳という公表条件のものです(2026年8月確認。出典:ソニー生命 学資保険の公式ページ)。

まず言葉の確認から。返戻率127.4%は「27.4%増える」という意味です。127%増えるわけではありません。ざっくり157万円払って200万円受け取る、という話です。

それでも27%増えるなら悪くない、と思いますよね。でもこれは22年かけての数字です。年あたりに直すと、どうなるか。計算してみました。

金額
払込総額(10年間)約157万円
受取総額(18〜22歳)200万円
差額約43万円
年利に換算すると約1.57%

返戻率127.4%の正体は、この契約条件だと実質年利約1.57%です。

試算条件
・払込:年約15.7万円 × 10回(0〜9歳)=約157万円
・受取:年40万円 × 5回(18〜22歳)=200万円
・年利は、払込と受取それぞれの時期を考慮した内部収益率(IRR)で計算
・上記の公表条件から逆算した概算です。実際の商品条件は必ず保険会社でご確認ください

これは決して悪い数字ではありません。年利に直してもプラスです。ただ、お金が長い期間引き出せなくなる点も含めて判断したいところです。それに、「127%」という数字から受ける印象とは、かなり違うはずです。

同じ額をNISAで運用したら

では、まったく同じ金額を同じタイミングで積み立てて、18〜22歳に同じく毎年40万円ずつ引き出したとしたら、NISA(全世界株式の投資信託など。わが家はオルカン)ではどうなるか。受け取る時期を揃えないと比較にならないので、そこを合わせています。

18〜22歳で受け取る額22歳時点でさらに残る額
学資保険(返戻率127.4%)200万円0円
NISAで年利3%運用200万円約52万円
NISAで年利5%運用200万円約151万円

同じ200万円を受け取ったうえで、年利5%なら約151万円、3%でも約52万円が手元に残る計算です。

※0〜9歳の各年初に積み立て、18〜22歳の各年初に40万円を引き出す想定で、運用は年1回複利として計算した概算です。残高は22歳の最後の引き出しの直後の金額です。税金・生命保険料控除・別に加入する保険の保険料は含みません。実際の運用成績は年によって上下しますし、元本割れの可能性もあります。特に引き出す時期に相場が下がっていると、この通りにはなりません。

わが家の教育費シミュレーションは教育費はいくら積み立てれば足りる?NISAで1,600万円を試算に書いています。

それでも学資保険にしかない価値がある

ここまで読むと「じゃあNISA一択じゃないか」となりそうですが、そう単純でもありません。学資保険にしかない機能があります。

契約者が亡くなったら、以後の保険料は払わなくていい

これが最大の違いです。

学資保険は保険なので、契約者(多くは親)が亡くなったり高度障害になったりすると、以後の保険料の払い込みが免除されます。それでも、進学時期には約束どおりの学資金が受け取れます。

NISAにはこの機能がありません。親に何かあったら、積立はそこで止まります。

「自分に何かあっても、子どもの学費だけは残る」——これは利回りでは測れない価値です。

予定どおり受け取れば、払った額を下回らない(今回の契約例)

今回の契約例では、途中で解約せず予定どおり受け取れば、受取総額(200万円)が払込総額(約157万円)を上回ります。ただし、医療特約などを付けると元本割れする商品もあるので、加入前に返戻率を確認してください。NISAは市場次第なので、必要なタイミングで下がっている可能性があります。

勝手に貯まる

保険料は自動で引き落とされ、簡単には解約できません。この「引き出しにくさ」は、貯金が苦手な人にとってはメリットになります。

NISAにしかない価値

逆にNISA側の強みも整理しておきます。

「いつでも引き出せる」は、思っている以上に効く

わが家がNISAを選び続けている一番の理由が、ここです。

教育費って、「大学入学時にドンと一括」だけではないんですよね。

  • 中学から塾に通わせることになった
  • 高校が私立になった
  • 部活の遠征費や、留学の話が出てきた

こういう出費は、いつ来るか事前に読めません。

学資保険は、受け取る時期を契約時に決めます。今回の契約例なら受け取りは18〜22歳。たとえば15歳でお金が必要になっても、そこからは出せません。解約すれば出せますが、そのときは返戻率が大きく下がります。せっかく22年かけて127%にする設計なのに、途中で降りると台無しになる仕組みです。

NISAなら、必要になったタイミングで必要な分だけ売れます。「いつ必要になるか分からない」という教育費の性質に、素直に合っているんです。

利回りに上限がない

学資保険は契約した時点で受取額が確定します。それが安心でもあるんですが、裏を返せばそれ以上は増えません。

NISAは上振れも下振れもします。長期で積み立てるなら、この「上振れの余地があること」は無視できない差だと思っています。

2027年からは子ども名義でも持てる

こどもNISAが2027年1月から始まります。しかも12歳以降なら、一定の条件のもとで引き出せる設計です。

子ども名義の口座でありながら、中学・高校のタイミングでも使える。かつてのジュニアNISAは原則18歳まで引き出せなかったので、ここは大きな違いです。ただし、12歳以降の払い出しには「子どものための使い道であること」「子どもが同意した書面」「親からの申出書」が必要です。親名義のNISAのように、いつでも自由に引き出せるわけではありません。

「学資保険とこどもNISA、どっちにする?」と迷う人も多いと思います。わが家はこどもNISAを選びました。2026年10月にSBI証券で申込も済ませています。

ただし、教育費の本体を全部こどもNISAに入れるわけではありません。教育費の本体は、これまでどおり親のNISAで準備しています。こどもNISAで積み立てるのは子ども1人あたり月5,000円。原資は児童手当の半分で、狙いは増やすことよりお金が増えたり減ったりするのを子どもに見せることです。考え方はこどもNISAの記事に書いています。

ただし、引き出せるのは弱点でもある

正直に書くと、引き出せるということは、使ってしまえるということです。ここは表裏一体で、教育費のつもりで貯めたお金が別のことに消える危険は常にあります。

わが家は目的別口座で箱を分けて、生活費と混ざらないようにすることで、この弱点を潰しています。仕組みで解決できるなら、自由さは残しておいたほうがいいという考え方です。

わが家の再結論

調べ直した結果、結論そのものは変わりませんでした。引き続きNISAで教育費を準備します。ただ、理由は変わりました。

子どもが生まれたときは「NISAのほうが増えそうだから」という、ざっくりした理由でした。いま同じ判断をするなら、こう言います。

契約で決まった学資金を受け取れる安心より、使う時期を調整できることのほうが、わが家には合っている。

学資保険が悪いのではなく、優先するものが違った、ということです。

正直に言えば、当時の判断は理由が浅かったと思います。ネットの記事を何本か読んで「増えそう」と感じただけで、年利に直して比べたわけでも、払込免除の価値を考えたわけでもありませんでした。

結果的に同じ結論にたどり着いたので後悔はしていませんが、理由をちゃんと持てたのは今回調べ直したからです。

払込免除は、掛け捨ての死亡保険で代替した

ここまで読んで「じゃあ払込免除はどうしたの?」と思った方もいると思います。学資保険の最大の強みを、わが家は捨てたことになるので。

答えは、掛け捨ての死亡保険で別に備えました。

親に万一のことがあったときの保障だけなら、割安な掛け捨ての生命保険でも用意できます。ただ、学資保険の払込免除は死亡だけでなく高度障害なども対象になっていることが多いので、代わりの保険でどこまでカバーできるかは確認しておくと安心です。学資保険のように「貯蓄と保障がセット」になっていない分、それぞれを最適な形で選べます。

貯蓄はNISA、保障は保険。役割を分けたほうが、わが家にはシンプルでした。

ちなみにその積立資金は、まず固定費の見直しで捻出しました。保険を増やすより、固定費を削って投資に回すほうが、わが家には合っていました。

「学資保険はいらない?」と聞かれたら、わが家の答えは「掛け捨ての死亡保険+NISAで足りる」です。

こういう人は学資保険が向いている

フェアに書いておきます。次のどれかに当てはまるなら、学資保険を検討する価値は十分あります。

  • 貯金がどうしても続かない。強制力がほしい
  • 値動きを見るのがストレス。確定した金額のほうが安心できる
  • 親に何かあったときの備えも同時に用意したい

逆に、値動きに耐えられて、途中で引き出せる自由さを重視するなら、NISAのほうが合っていると思います。

なお、生活防衛資金(急な出費に備える現金)がまだ貯まっていない場合は、学資保険でもNISAでもなく、まず預金で確保するのが先です。学資保険は途中で解約すると不利になりやすいので、急な出費の受け皿にはなりません(わが家は生活費6ヶ月分)。

迷うなら「併用」も現実的

ここまで「どっちか」で書いてきましたが、両方使うという選び方もあります。FPの記事でもよく見かける方法です。

やり方はシンプルで、「最低限ここまでは絶対に確保したい」という金額を学資保険で固めて、それ以上の上乗せ部分をNISAで増やしにいくという分け方です。

こうすれば、学資保険の確実性とNISAの成長性を両方取れます。「全部NISAは怖いけど、全部学資保険だと物足りない」という人には、いちばん現実的な着地点だと思います。

すでに学資保険に入っている場合も、途中で解約すると払った額より戻ってくる額が少ないことが多いです。まずは解約返戻金がいくらかを保険会社に確認して、続けながら上乗せ分をNISAで積み立てる、という形も考えられます。

iDeCoも含めて「どの制度から手をつけるか」で迷っている場合は、iDeCoとNISA、どっちを先に始めるべきかも参考になると思います。

NISAで貯めるなら、出口も考えておく

最後にひとつだけ、大事なことを書いておきます。

NISAでの運用は元本保証ではありません。大学入学の直前に相場が下がっていたら、そのタイミングで必要な額を用意できない可能性があります。

なので、使う時期が近づいたら現金の比率を高めていくという工夫が要ります。高校生になったあたりから、使う時期と必要な額に合わせて少しずつ売って、現金に移していくイメージです。

「積み立てて放置」で完結しないのが、学資保険との違いでもあります。自由度が高いぶん、出口は自分で設計する必要があるということですね。

まとめ

  • 2026年は学資保険に追い風が2つ(予定利率の上昇・生命保険料控除の拡充)
  • 「学資保険は返戻率が低いからダメ」という論調はもう当てはまらない
  • ただし返戻率127.4%を年利に直すと約1.57%。同じ200万円を受け取る前提でNISA(年利5%)と比べると、22歳時点で約151万円の差
  • 学資保険には契約者に何かあったときの払込免除という、利回りでは測れない価値がある
  • 一方NISAの強みは必要なときに引き出せること。教育費は大学入学時だけでなく、いつ来るか読めない出費が混ざる
  • わが家の結論は変わらずNISA。ただし理由は「増えそうだから」ではなく「引き出せるから」に変わった

教育費全体の見通しは教育費が不安な人へ(ガイド)にまとめています。